あけましておめでとうございます。
皆様方には、清々しい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、平素より当協会の運営に格別のご支援、ご協力を賜り衷心より御礼申し上げます。
さて、昨年1月に発災した能登半島地震においては、愛知県や名古屋市と連携して緊急支援物資輸送を行い、多くの会員事業者の皆様にご協力賜りましたこと、改めて御礼申し上げます。改めて、平時からの訓練とBCPの重要性を認識したところですが、まさに昨年10月に事業継続の新拠点となる「愛知県トラック総合会館」が竣工いたしました。免震構造や災害対策室、非常用電源や蓄電池など防災設備を整えた拠点となり、有事の際にはその機能をいかんなく発揮し、災害時におけるトラック輸送に課せられた社会的役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
国内外の政情を振り返ると、ウクライナ情勢や中東情勢は依然として厳しい状況が続いており、中国経済では不動産市場が低迷、また、アメリカ大統領選挙の結果をふまえ、今後のエネルギー政策や気候変動対策等にも大きな注目が集まります。先進各国では金利が上昇し、日本銀行が17年ぶりにマイナス金利政策を解除したことで、為替相場の転換やエネルギー価格の安定が期待されましたが、燃料価格は依然として高騰を続けています。一方、国内でも10月の衆議院選挙において自公連立政権が過半数割れとなり、我々の業界にとって最も重要な自動車関連税制に関する大きな転換が予測されるなど、まさに激動の一年となりました。
このように「エッセンシャルワーカー」として国民生活を支える貨物自動車運送事業を取り巻く環境においても、燃料だけでなく、車両価格や人件費の上昇が続き、その中で時間外労働の上限規制にも対応せねばならず、まさに四面楚歌といった状況が続いております。
更に、トラック運送業界においては、ドライバーの時間外労働規制を発端とした、いわゆる「2024年問題」を解決するために、トラックドライバーの労働環境の改善や物流の生産性向上、荷待ち・荷役時間の削減や多重下請構造の是正等を進めるため、「改正物流効率化法」が本年4月に施行されます。また、業界の適正な取引環境の整備が図られることが期待される下請法も改正されます。いずれも、業界の健全化に向けて、昨年改正された「標準的な運賃・標準運送約款」と相乗効果を発揮するものであり、トラック輸送が今後も国民生活・経済を支える社会インフラであるために、また物流産業をより魅力的なものにするために、我々はこの非常に強い追い風を確実に掴み前進していかねばなりません。
2025年の当協会の事業活動においては、引き続き労働環境改善や業務効率化のための物流DXを促進する設備への助成事業を続けるとともに、トラック・物流Gメンに協力するためのGメン調査員活動等により一層の荷主対策の深度化を行ってまいります。
また、前述の「改正標準的な運賃・標準運送約款」については、引き続きセミナー等を通じて積極的に情報を発信し、適正な運賃料金が収受できるよう後押ししてまいります。
一方、依然として県下で多発する交通事故を撲滅するため、本年が最終年となる「トラック事業における総合安全プラン2025」に掲げる基本目標達成に向けて、関係行政と一体となって飲酒運転の根絶や事故抑止活動の推進、安全教育支援、先進機器の導入助成、事業運営に資する講習等を実施してまいります。
適正化事業においては全国適正化事業実施機関と連携し、巡回指導におけるD・E事業所への重点指導により業界内の法令遵守を一層徹底するのみならず、改善が必要な事業者及び新規許可事業者に対してのフォローアップ体制をより充実してまいります。
また、地方創生臨時交付金等を活用した燃油価格高騰対策、生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現と物流ネットワークの形成支援、そして高速道路の速度規制緩和の拡大等をはじめとする諸課題の解決に向けて、自由民主党愛知県議員団運輸振興議員連盟をはじめ、自由民主党愛知県支部連合会、公明党愛知県本部の皆様方とも連携し、要望活動を一層強化してまいります。
さらに人材確保対策事業として、昨年に引き続きトラックFes2025(仮称)を開催し、内外へ向け業界の魅力を発信するとともに、就職面談会やハローワークと提携した地域密着型就職イベント、高校向け進路ガイダンスに参加するなど幅広い層への働きかけを行ってまいります。既に多くの会員事業者にご登録いただいております協会独自の人材確保特設サイトにも有益なコンテンツを随時追加し、オンライン上でも業界の魅力を訴求してまいります。
そして、中部トラック総合研修センターでは輸送の安全確保に係る人材の育成を支援するため、経営者・管理者・ドライバーなどそれぞれの職種や経験に合わせたより実践的なカリキュラムをご提供いたします。また、人材確保の一助となるよう新たに特定技能外国人ドライバー向けの教育研修・適性診断等にも柔軟に対応してまいります。
災害対策事業においては、愛知県の基幹的広域防災拠点と適切な連携が図れるよう、トラック総合会館の機能性を生かして事業継続計画を見直し、能登半島地震をふまえた緊急輸送体制の実効性確保に努めてまいります。
結びに、皆様のご多幸とご健勝を祈念するとともに、トラック運送業界への更なるご理解とご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
一般社団法人愛知県トラック協会
会長 寺岡 洋一