
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
皆様におかれましては、希望に満ちた新春をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。また、平素より当協会の運営に対し、格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、国内外において、多様な課題に直面する一年となりました。ウクライナや中東での緊張は依然として続き、エネルギー供給の不安定化が世界経済へ波及するなど、地政学的リスクの高まりが顕著となりました。加えて、米国におけるトランプ大統領の関税政策を背景とした保護主義的な通商姿勢の再強化は、国際貿易の停滞とコスト増加を招き、中国周辺を含む地域情勢の緊迫化は、サプライチェーンにも大きな影響を及ぼすなど、複合的に不確実性を高める要因になっています。
世界的な高金利環境や各国の政策動向が市場を揺さぶる中、我が国においても物価上昇や為替変動が企業活動を左右する状況が継続した一年でした。トラック運送業界は特にその影響を強く受けており、燃料価格は高水準で推移し、車両やタイヤ等の資機材価格、さらには人件費上昇が重なり、多くの中小事業者の経営を圧迫する構造が続いております。
こうした中、我が国では史上初となる女性総理大臣が誕生し、政治・経済・社会の各分野で新たな方向性が示される転換点を迎えました。新内閣が掲げた労働政策や税制改正、GX・DXの推進は、物流分野へも大きな波及が見込まれます。なかでも、半世紀以上にわたり暫定的措置として継続されてきた軽油引取税の「当面の間税率」について、廃止に向けた方針が示されたことは、長年要望を続けてきた我々にとって、極めて大きな一歩となりました。
一方、物流の現場では、ドライバーの時間外労働の上限規制が施行されて1年が経過し、荷待ち・荷役時間削減や取引構造の見直しなど、各社が様々な局面で知恵を絞り、まさに働き方改革と物流の持続可能性の両立が強く求められた一年となりました。
昨年6月には、事業許可の5年ごとの更新制導入、適正原価を下回る運賃の制限、多重下請構造の是正、白ナンバートラック規制強化などを柱とした「トラック適正化二法」が公布されました。
また、昨年成立し段階的に施行されている改正物流効率化法に加え、本年1月からは、従来の下請法を改正した「中小受託取引適正化法(いわゆる取適法)」が施行されます。同法では、これまで対象外であった特定運送委託(物流委託)が対象取引に追加され、運送委託を含む取引における優越的地位の濫用や、一方的な代金の据え置き等の不適切な取引慣行の是正が図られます。これにより、サプライチェーン全体において、適正な協議を通じた価格決定や価格転嫁に向けた環境整備が進むことが期待されており、適正取引推進の観点から重要な局面を迎えています。
これら一連の動きは、エッセンシャルワーカーであるトラックドライバーの経済的社会的地位の向上に直結し、我が国の物流の持続可能性の確保及び国民経済の健全な発展を図るため、トラックドライバーの適切な賃金の確保とトラック運送業界の質の向上にとって、極めて大きな追い風です。我々はこの風を確実に捉え、着実に前進していかなければなりません。
さて、2026年の当協会の事業活動においては、会員企業の経営基盤を支えるべく、物流DXにより事業変革を後押しするとともに、持続可能な経営を実現するための助成事業を積極的に推進してまいります。また、働き方改革の定着に向けて労働環境の改善を進め、適切な賃金の確保と業界の質向上を目的とした「トラック適正化二法」についても、必要な情報を周知展開しまいります。
一方、交通安全対策については、県内で多発する交通事故を撲滅するため、次期「事業用自動車総合安全プラン」に向けて、関係行政と一体となって飲酒運転の根絶や事故抑止活動の推進、安全教育支援、先進機器の導入助成、さらには各種交通安全講習会の適宜実施により、地域の模範となるプロドライバーの意識醸成に努めます。
適正化事業においては、業界の健全化を最重要課題とし、違法な白トラ対策や荷主・元請への働きかけを強化します。悪質事業者等の排除を徹底する一方、改善が必要な事業者や新規許可事業者へのフォローアップ体制をより充実させてまいります。
また、物流を『くらしと経済のライフライン』として守り抜くため、「当面の間税率」廃止方針に伴う重要課題として、運輸事業振興助成交付金制度の堅持と安定運用、物価高騰支援対策等に注力しなければなりません。これら諸課題の解決に向け、自由民主党愛知県議員団運輸振興議員連盟をはじめとする関係各位と連携し、意見交換や要望活動を一層強化してまいります。
人材確保対策事業としては、就職面談会やハローワークと提携した地域密着型あるいは企業主催の就職イベント、高校向け進路ガイダンス等を通じ、幅広い層へ働きかけを行ってまいります。また、特定技能制度による外国人ドライバーの円滑な受入・定着支援についても、関係機関と連携し実効性ある対応を進めてまいります。また、「トラック Fes」を県内各地で開催し、業界の役割や魅力を多世代に向けてPRしてまいります。
中部トラック総合研修センターでは、輸送の安全を支える人材育成を強化するため、職種や経験に応じたカリキュラムの提供に加え、外国人ドライバーへの教育や適性診断にも柔軟に対応し、物流の安全管理に精通した人材を育成する資格認定講座や運行管理者指導講習等の更なる充実を図ってまいります。
災害対策事業においては、大規模災害の発生に備え、自治体からの緊急物資輸送依頼に確実な対応ができるよう、行政や関係団体と訓練や調整を重ねるとともに、ソフト・ハード両面において必要な設備投資と既存BCPの実効性向上を図ってまいります。
結びに、皆様のご多幸とご健勝を祈念するとともに、トラック運送業界への更なるご理解とご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
一般社団法人愛知県トラック協会
会長 青木 均















