令和3年6月1日より健康起因事故への行政処分が追加されました。

貨物自動車運送事業法第17条第2項により、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなくてはならない、と定められていますが、近年、健康起因事故が増加しており、必ずしも遵守されていない事例が発生しています。

健康起因事故の抑制を図るため、健康診断の適切な受診を行っていないドライバーが重大事故等を起こすような悪質な違反について行政処分が追加されました。

ドライバーが事故発生時から過去1年以内に法定の健康診断を受診させずに乗務させていた場合や、健康診断の結果、脳・心臓疾患等の疾病が疑われ、要再検査や要精密検査、要治療の所見があるにもかかわらず、再検査を受診させずに乗務させていた場合が対象となり、初違反が40日車、再違反が80日車となります。


以下、「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について別表 全文」のうち、今回新設された部分(赤字)の抜粋です。

貨物自動車運送事業法第17条第1項第1号第6号 [疾病、疲労等のおそれのある乗務(過去1年以内に法定の健康診断を受診させていない状態で乗務させること)]
事 項 初違反 再違反
1疾病、疲労等のおそれがある乗務/未受診者1名 警告 10日車
1疾病、疲労等のおそれがある乗務/未受診者2名 20日車 40日車
1疾病、疲労等のおそれがある乗務/未受診者3名以上 40日車 80日車
2未受診者による健康起因事故が発生したもの★ 40日車 80日車
3疾病・疲労等乗務 80日車 160日車
4薬物等使用乗務 100日車  200日車

★健康起因事故とは、当該運転者が脳疾患、心臓疾患及び意識喪失を発症し、負傷者(当該運転者を除く。)が生じた重大事故等をいう。

★事業者が、当該運転者の事故発生日から過去1年以内に法定の健康診断を受診させずに乗務させていた場合、または、健康診断受診結果に基づき、脳疾患、心臓疾患及び意識喪失に関する疾病を疑い、要再検査や要精密検査、要治療の所見があるにもかかわらず、再検査を受診させずに乗務させていた場合のいずれかに該当した場合に適用する。

なお、新設された「2」を適用した運転者は「1」の調査対象から除く。